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ピープルツリーの日々のこと

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水曜日

18

11月 2015

☆24周年リレーブログ☆ タナパラ・スワローズのスカート

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24周年を迎えた11月のリレーブログ『ピープル・ツリー 今昔ものがたり』。
今となっては笑い話のような、懐かしい、かつてのエピソードをご紹介します。
今回は第2回目です。




ディレクターのタネモリです。
私のピープル・ツリーでの最初の仕事は、1999年春夏カタログの編集でした。
当時は『アースカタログ&マガジン』という名で、商品紹介のページは70ページ、うちファッションは30ページほど。
服はシンプルな形のシャツやAラインのスカートがメインでした。


『アースカタログ&マガジン』に掲載された、スワローズのスカート(写真中央下)。左ページの女性モデルが着用しているのもこれ。

『アースカタログ&マガジン』に掲載された、スワローズのスカート(写真中央下)。左ページの女性モデルが着用しているのもこれ。


当時から今までずっとパートナーシップを続けているバングラデシュの「タナパラ・スワローズ」は、このシーズンの生産で大きなミスをしてしまいました。サンプルは問題がなかったのに、指示と異なるスカートが納品されてしまったのです。
最終的にはなんとか販売はできたものの、指示書通りの商品が納品されないなんて大問題。
同じミスを繰り返さないよう、原因と対策の話し合いのため、代表のサフィアが現地に駆け付けました。


現地で縫製担当者全員と品質管理を担当した2人と原因を話し合った結果、彼らのコミュニケーション不足が原因だと分かりました。

実はその時期、スワローズは長年支援してくれていたスウェーデンのフェアトレード団体からの資金援助が減ったため、品質管理を監督する立場にあったトップ・マネージャーのライハン・アリさんが緊急で新しい資金提供先を探すことに大忙しだったのです。
ライハンさんは問題の大きさに気づいてほとんど泣きそうになっていました。ヨーロッパのフェアトレード組織が取引数を縮小しているなか、グローバル・ヴィレッジ(ピープル・ツリーの母体NGOで、当時の活動団体名)の支援まで失う事が心配でたまらなかったのです。
サフィアは「そんなことはしない」と彼らを励まし、集まった皆で裁断と縫製の間違いを確認し、対策を具体的に話し合いました。


当時のグローバル・ヴィレッジ新聞でも事の顛末を出張報告としてお知らせしました。

当時のグローバル・ヴィレッジ新聞でも事の顛末を出張報告としてお知らせしました。


あれから16年。スワローズは女性織り職人による柔らかな手織り生地と手刺繍という特徴を活かしたクラフト感あふれるアイテムを、毎シーズン届けてくれています。
ピープル・ツリーのデザインチームは、スワローズならではの生地と刺繍を念頭に、縫製の設備や技術レベルも考慮しながらデザインを考えます。問題が起こればすぐにその解決を共に考えながら、品質の向上に取り組んでいます。


タナパラ・スワローズのアイテム

Autumn/Winter 2015コレクションのタナパラ・スワローズのアイテム。
(左)プラネット手刺繍・ブラウス手織りラップパンツ
(右)スター手刺繍・コクーンワンピース


長年取引をしてくださっている卸先のバイヤーさんからは、「昔に比べてずいぶん品質が上がりましたね」「デザインのいいものが増えましたね」と嬉しいコメントをいただきます。そんな変化をお客さまと共有できるのも、生産者ともお取引先とも長いパートナーシップを目指すフェアトレードならではだと思います。


お客さまからいただく嬉しいコメントのもうひとつは、「ピープル・ツリーのスタッフさんはおしゃれな人が多いですね」というもの。
スタッフはもちろん毎日のように自社商品を身に着けていますが、16年前はアイテム数が少ない上にコーディネートできるものも限られ、オフィス内でスタッフの半分が「お揃い」の服装ということもしばしば。


今は複数のシーズンのコレクションにまたがって、アイテム数も増え、トップスとボトムス、アウター、アクセサリーの組み合わせも多種多様。スタッフそれぞれのセンスでコーディネートを楽しんでいます。
「People Tree Coordinate Diary」では、そんな「おしゃれな」スタッフたちのおすすめコーディネートを紹介しています。


まだまだ進化を続けるピープル・ツリーのフェアトレード・ファッションのこれからに、ぜひ期待してください!


タナパラ・スワローズのアイテムはこちら>>


☆24周年リレーブログ☆


金曜日

28

11月 2014

インドのフェアトレードの重鎮 ムーンさんとの7日間

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ディレクターのタネモリです。

11月18日から24日まで、インドの生産者パートナー「タラ・プロジェクト」からお招きしたムーン・シャルマさんと一緒に、取扱店やプレスの方々、ショップのお客さま向けなど合計6回のワークショップを開いて、タラ・プロジェクトの活動とフェアトレードの意味についてお話しました。

「タラ・プロジェクト」は、世界のフェアトレード運動の先駆者ともいえる団体です。1960年代後半、ムーンさんのお父さんであるシャム・シャルマ博士を始めとする教育者やソーシャル・ワーカーの有志が貧困層の人びとの生活向上のために職業訓練を始めた活動が出発点となって、各地で自発的に手工芸生産のグループが立ち上げられ、500名あまりの職人がアクセサリーや石細工の製品づくりを通して収入を得ています。

タラ・プロジェクトでつくられたアクセサリー

タラ・プロジェクトでつくられたアクセサリー



ビーズのアクセサリーを作るタラ・プロジェクトの女性たち

ビーズのアクセサリーを作るタラ・プロジェクトの女性たち



タラ・プロジェクトの活動は、製品作りにとどまりません。いまだに児童労働や劣悪な労働環境があたりまえのインドの手工芸生産現場の悪習を改めようと、さまざまな社会的活動を行っています。

例えば、学校に通わずに一日中作業所で働く子どもたちに教育の機会をつくるため、5ヵ所の教育センターを運営して1,100名の子どもたちに授業を行っています。

子どもたちが毎日数時間でも仕事を離れて授業を受けられるよう、タラ・プロジェクトのソーシャル・ワーカーたちが作業所の経営者や子どもたちの親をねばり強く説得しているのです。ムーンさんは言います。「児童労働の最大の要因は貧困ですが、教育の大切さを大人が理解していないことがそれをさらに加速させています。教育を受けた親は、子どもを学校に行かせるようになります」。

インドでは少なくとも500万人(2012年インド政府公式発表)の子どもたちが手工芸産業や農業の現場で働いている (写真提供:タラ・プロジェクト)

インドでは少なくとも500万人(2012年インド政府公式発表)の子どもたちが手工芸産業や農業の現場で働いている
(写真提供:タラ・プロジェクト)



また、就業の機会が少ない女性たちには、縫製などの実務的な職業訓練を行い、将来家庭に入っても仕事ができるように支援しています。読み書きや技能を身につけた女性たちは、家で親や夫の言いなりになることしか知らなかった生活から、自ら収入を得て思ったことを発言し、家庭や職場で物事の決定にも参加できるようになるのだそうです。

「フェアトレードとは単に売買において公正な取引をすることではありません。立場の弱い人びとの生活を変えるためには、教育、技術力、作業環境の改善など包括的なアプローチが必要です。それを実践しているのがフェアトレードなのです」。ムーンさんの言葉には、40年以上フェアトレードの現場で草の根の活動を実践し、実際に貧困に苦しむ女性や子どもたちと接しながら一緒に問題解決に取り組んできた実感がこもっています。

ワークショップの一つで参加者へのメッセージを求められたムーンさんは、「みなさんは消費者として、フェアトレード運動の中で重要な役割を担っています。ぜひ、『責任ある消費者』になってください」と言葉に力を込めました。フェアトレードは、弱者のための善行というよりむしろ、自分の行動やお金の使い方に責任を持つという消費行動の変革に向けた運動でもあるのだと、つくづく感じました。

ムーンさんの来日は3回目。2002年の前回来日から10年以上経った今もなお、変わらぬ情熱を持ってフェアトレードの前線で活躍する彼女のエネルギーに触れ、このようなすばらしい活動家と一緒に世界を変えるという共通の理念を持って仕事ができることに、あらためて感謝。タラ・プロジェクトのアクセサリーや小物を、もっともっと多くの人に紹介しなければ!と気持ちを新たにしました。

商品についてご意見やアイディアがあったら、ぜひお知らせください。よりよい商品をつくることでさらに多くの人に選んでいただけるように、タラ・プロジェクトと共に一層の向上を目指します。

忙しい滞在の合間に訪れた、名古屋市の古川美術館で日本庭園を楽しんだムーンさん(左)とタネモリ

忙しい滞在の合間に訪れた、名古屋市の古川美術館で日本庭園を楽しんだムーンさん(左)とタネモリ



ピープル・ツリー モザイクモール港北店を訪れたムーンさん(中央)。

ピープル・ツリー モザイクモール港北店を訪れたムーンさん(中央)。
スタッフとタラ・プロジェクトの製品と共に



「タラ・プロジェクト」のアイテムはこちら


水曜日

3

9月 2014

Lee × People Tree コラボデニムができるまで vol.4

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デニムブランド「Lee」とピープル・ツリーのコラボデニム、
本日より自由が丘店で先行販売を開始!
モザイクモール港北店オンラインショップで予約受付を開始します。

第1弾(紡績編)はこちら
第2弾(織り編)はこちら
第3弾(縫製編)はこちら

レポートの最終回は、製品に洗いや脱色、着古し感を出す「ユーズド加工」などの最終加工を行う工場から。担当しているのは岡山県玉野市にある「豊和」です。

豊和の企画開発担当・平松達也さん(右)とタネモリ

豊和の企画開発担当・平松達也さん(右)とタネモリ

今年創業50年を迎える同社では、洗いや仕上げ加工の過程でできる限り環境を害さないよう、次々と新しい技術を模索してきました。1998年には企業が環境へ影響を最小限にとどめるために定められた国際的な標準規格「ISO14001」を取得しています。

工場の入り口に掲げられた「ISO14001」取得をうたうスローガン

工場の入り口に掲げられた「ISO14001」取得をうたうスローガン

例えば、今回のコラボデニムの仕上げ加工では、オゾンを使って脱色する「エアーウォッシュ」という技術を使っています。これは、空気からオゾンを生成してその酸化作用によりジーンズの染料を分解するエコロジカルな脱色方法。役目を終えたオゾンは分解し、酸素に還るのです。

また、ボーイズタイプのみ「ユーズド加工」で自然な着古し感を加えていますが、この作業はなんと人手で一枚一枚行っています!
ユーズド加工には砂を吹き付けたり薬剤を使う方法もありますが、設備の整っていない途上国の工場などでは作業中の健康被害が問題になることもあるそうです。この方法なら人にも環境にもやさしいですね。

シワを型どった台に・・・

シワを型どった台に・・・






製品を乗せてやすりでこすります。 平松さんは入社したての頃この作業を担当していたそうで、手つきが鮮やか。

製品を乗せてやすりでこすります。
平松さんは入社したての頃この作業を担当していたそうで、手つきが鮮やか。






自然に着古したようなシワが、このとおり! このシワは、商品によってそれぞれ独自に考案されるのだそう。デザインの一部なんですね。

自然に着古したようなシワが、このとおり!
このシワは、商品によってそれぞれ独自に考案されるのだそう。デザインの一部なんですね。

これでいよいよ製品ができあがりました。
ぜひ、直営店やオンラインショップに見に来てくださいね!
また、全国のお取扱店でも10月上旬から販売を開始しますので、お近くの店でお求めください。


土曜日

30

8月 2014

Lee × People Tree コラボデニムができるまで vol.3

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ディレクターのタネモリです。

デニムブランド「Lee」とピープル・ツリーのコラボデニムのレポート、第3弾をお届けします。
第1弾(紡績編)はこちら
第2弾(織り編)はこちら
第4弾(最終加工編)はこちら
※ Lee × People Tree コラボデニムは10月上旬に入荷予定です。

秋田県大館市「秋北ジーンズ」の田山工場長(左)とタネモリ

秋田県大館市「秋北ジーンズ」の田山工場長(左)とタネモリ

6月から7月にかけて糸から生地になったオーガニックコットンは、いよいよ縫製の工程へ。
8月上旬に訪れたのは、青森県との境に近い秋田県大館市にある「秋北ジーンズ」。ここはLee製品を専門に作っている契約工場です。62人の工員さんのうち、男性7人が裁断や機械のメンテナンスを担当し、縫製作業を担うのはすべて女性。おそろいのLeeのユニフォームを着た女性たちが、パーツや作業ごとに分かれた持ち場でてきぱきとミシン掛けやボタンつけなどをしていました。

工場内のようす。 一つの持ち場から次の工程に製品を移動させるのは「ハンガーシステム」と呼ばれる方法で、フックに取り付けられた製品が天井近くのレールを伝って次の工程に流れていきます

工場内のようす。
一つの持ち場から次の工程に製品を移動させるのは「ハンガーシステム」と呼ばれる方法で、フックに取り付けられた製品が天井近くのレールを伝って次の工程に流れていきます





ポケットとなる生地に書かれたメッセージ。

ポケットとなる生地に書かれたメッセージ。

5ポケットのジーンズの場合、作業工程は45~50にも分かれています!
一部の工程は機械化されていますが、この工場では小ロットでも対応できるよう、人手で行う工程がかなり残っています。想像していたよりずっとたくさんの人が作業に関わっていてびっくりしました。

すべての工程が滞りなく流れるよう作業時間は綿密に計算されており、女性たちはそれぞれの持ち場で黙々と作業しています。経験の浅い人はポケットのかがりなど簡単な作業を、ベテランになるとより複雑な作業を担当します。

「尻巻き」と呼ばれる工程はベテラン工員が担当

「尻巻き」と呼ばれる工程はベテラン工員が担当。





この道26年のベテラン、山下綾子さん

この道26年のベテラン、山下綾子さん

これは、スカートのスリットを入れながら左右の身頃を縫い合わせる「尻巻き」と呼ばれる作業。2つのパーツの縫いしろを指で丸めて合わせながらミシン台に乗せ、一気に縫い合わせていきます。これができるのは55人の工員さんのうちわずか5人というほど、高度なテクニックです。

ここでは、経験を積むとさらに腕を磨いてステップアップできるので、子育てをしながら長く勤める女性も多いのだそう。フェアトレードでは指針のひとつに「女性の能力向上」を挙げており、インドやバングラデシュの生産者パートナーの現場も女性が大半を占めるので、とっても親近感がわきました。

さて、1枚の生地から50近くの工程を経てついに製品が形になりました!
一つの製品ができあがるまでに、本当にたくさんの人の手を経ているのだと実感しました。
このあと、洗いや仕上げ加工を経て、いよいよ出荷です。

次回の最終回は、仕上げの工程をご紹介します。


火曜日

26

8月 2014

Lee × People Tree コラボデニムができるまで vol.2

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ディレクターのタネモリです。

デニムブランド「Lee」とピープル・ツリーのコラボデニムのレポート、第2弾をお届けします。
第1弾(紡績編)はこちら
第3弾(縫製編)はこちら
第4弾(最終加工編)はこちら
※ Lee × People Tree コラボデニムは10月上旬に入荷予定です。

5月下旬に大阪で加工された糸は、ブルーやネイビーのデニム生地に使うタテ糸を染色した後、広島県福山市の「篠原テキスタイル」で生地になりました。

6月下旬に工場を訪れたときは、ちょうどボーイズタイプ・オーガニックコットン・デニムやメンズ・ストレート・オーガニックコットン・デニムで使用するオーガニックコットン100%のデニム生地を織っている最中でした。

これが織機。びっしりと張られたインディゴブルーのタテ糸の間を、白いヨコ糸がくぐっていきます。

これが織機。びっしりと張られたインディゴブルーのタテ糸の間を、白いヨコ糸がくぐっていきます。

ちなみにピープル・ツリーの手織り生地は職人さんたちが人力で生地を織っているのですが、これが自動化されているのですね。人類が布を織り始めたのは紀元前8000年だそう。1万年経っても、タテ糸とヨコ糸を交差させて布にするという原理はずっと変わっていません。

ヨコ糸を上下させるピンが目にもとまらぬ速さで動いていますが、織るスピードは想像していたよりゆっくり。カシャカシャという正確なリズムに乗って、毎分25cmというスピードで生地が送り出されていきます。

ヨコ糸の生成り糸は、こんなふうにボビンから送り出されていきます。

ヨコ糸の生成り糸は、こんなふうにボビンから送り出されていきます。

デニム生地を見るとたいてい斜めの線が見えますが、これはヨコ糸とタテ糸が1:1で交差するのでなく、1本のヨコ糸が3本のタテ糸の下をくぐって1本のタテ糸の上を通る「葛城(かつらぎ)」という織り方で織られているためです。

ちなみに「デニム」という単語はもともと生地の種類を指す言葉で、タテ糸に色のついた糸、ヨコ糸に無染色の糸を使った厚手の綾織物のこと。
今回の「Lee×People Tree」のコラボシリーズではブラックの生地も使っていますが、ブラックの場合は無染色の糸で生地を織った後、生地染めします。後染めの生地は厳密にいうと「デニム」ではないのですが、近年はコットン製の厚手の織物でできたパンツ類を総称して「デニム」と呼ぶことが多くなっています。

織りあがった生地は手前に見えるローラーに巻き取られていきますが、その手前で光に当てて織り傷などをチェックされます。

織りあがった生地は手前に見えるローラーに巻き取られていきますが、その手前で光に当てて織り傷などをチェックされます。






左から篠原テキスタイルの開発担当篠原由起さん、篠原由訓社長、リー・ジャパン ディレクター細川秀和さん、タネモリ

左から篠原テキスタイルの開発担当篠原由起さん、篠原由訓社長、リー・ジャパン ディレクター細川秀和さん、タネモリ

コットンから糸へ、糸から生地へ。だんだんと形になっていく工程を見ているとワクワクします!
次のレポートでは、縫製の様子をお伝えします。


火曜日

19

8月 2014

Lee × People Tree コラボデニムができるまで vol.1

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ディレクターのタネモリです。

今年の秋冬コレクションで実現する、デニムブランド「Lee」とピープル・ツリーのコラボデニム。
9月上旬の直営店での先行販売、10月上旬の一般販売開始に向けて着々と生産が進んでいます。
製品ができるまでを、4回に分けてお伝えします。

第2弾(織り編)はこちら
第3弾(縫製編)はこちら
第4弾(最終加工編)はこちら

このコラボレーションは、ピープル・ツリーの主なオーガニックコットン製品の原料を供給してくれているインドのオーガニックコットン農家支援組織「アグロセル」から直接原綿を日本に輸入し、日本で紡績、織り、縫製、最終加工を行うというもの。
オーガニック&フェアトレードのコットンと、日本のものづくりのこだわりが融合したプロジェクトです。

コットンが日本に到着したのは、5月中旬。
原綿の状態での輸出入はアグロセルと私たちにとって初めての経験。
輸出許可の手続きは? 検疫は? 積み荷の大きさは? ・・・ひとつひとつ確認しながらの作業でした。

なんとか無事に輸入できたコットン。
最初の加工工程である紡績の様子を見に、リー・ジャパンのディレクター細川さん、代表・サフィアと共に大阪府阪南市にある大正紡績の工場へ。

コットンはベール(インドの基準では約165kg)単位で梱包されています。
大きな岩のようにそびえるコットンの山に、思わずよじ登ってしまったサフィア。
工場の製造部長さんを慌てさせてしまいました・・・

大正紡績製造部の多胡部長(右から2人目)、リー・ジャパン細川秀和さん(中央)、サフィア(左から3人目)、タネモリ(左から2人目)。ドキュメンタリーフィルムの撮影で同行したアメリカの制作チーム3人と。

大正紡績 製造部 部長の多胡さん(右から2人目)、リー・ジャパン細川さん(中央)、サフィア(左から3人目)、タネモリ(左から2人目)。ドキュメンタリーフィルムの撮影で同行したアメリカの制作チーム3人と。





原綿は、収穫されたコットンボールをジニング(種を取り除く)しただけのもの。

原綿は、収穫されたコットンボールをジニング(種を取り除く)しただけのもの。





原綿から糸になるまでには、ミキシング(原綿を混ぜて打ち、除塵する)、カーディング(くしけずり、さらに除塵する)、ロービング(撚りをかけて粗糸をつくる)、スピニング(粗糸を引き伸ばし、撚りをかけて糸にする)などたくさんの工程を経ます。



スピニング・マシン(精紡機)の前に立つ、リー・ジャパン細川さんとサフィア。

スピニング・マシン(精紡機)の前に立つ、リー・ジャパン細川さんとサフィア。





この機械はスピニング・マシン(精紡機)。
速度の異なるローラーの間で粗糸を引き伸ばし、高速回転する軸にかかったボビンで巻き取って糸に撚りをかけます。
目にもとまらぬ速さで回転する何百本ものボビンが糸を巻き取っていく様は圧巻!

今回のコレクションでは、ボーイズタイプとメンズはコットン100%、スキニーデニムとペンシルスカートには4%ポリウレタンを混ぜてストレッチ混の糸にしました。

次回は、糸から生地になる工程をレポートします。お楽しみに!


水曜日

4

6月 2014

人と人との関係を取り戻すフェアトレード

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ファッションビジネス専門誌『繊研新聞』に広報ディレクターのタネモリが年に数回、
コラム「くらしのまわり」の執筆を担当しています。

今回は6月3日(火)に掲載された記事をご紹介します。

***

今年も、「世界フェアトレード・デー」を中心としたフェアトレード月間が終了した。

フェアトレード団体の世界的なネットワークである世界フェアトレード機関(WFTO)が呼びかけ各国でさまざまなイベントが行われる5月の第2土曜日をはじめとして、日本でも5月中に各地でセミナーやファッションショー、即売会などが行われた。今年のテーマは「フェアトレード・ピープル」だ。テーマに込められているのは、フェアトレードの原動力は、ものがつくられる現場から消費者の手に渡るまで一連のサプライチェーンに関わる「人」である、というメッセージだ。

昨年4月にバングラデシュのダッカで8階建てビルが倒壊し、中の縫製工場で働いていた1,138名が亡くなった悲惨な事故は、欧米諸国や日本の消費者が安く買い求める衣料品がつくられる現場で、安全基準を満たさない建築や過密な作業場でのひどい労働環境などが横行していたことを明るみにした。このような「アンフェアトレード」がはびこる背景には、経済のグローバル化に伴って生産現場と消費者の距離がどんどん遠くなり、ものの背景にいる人の顔が見えなくなったことがある。見えない相手に対する責任感は薄れ、サプライチェーンの各段階で起こる責任の放棄の連鎖が、アンフェアトレードを生み出している。

フェアトレードは、途上国支援のための慈善的なビジネスと誤解されがちであるが、もっと普遍的な、本来あるべき人と人との関係を取り戻す社会運動といえる。フェアトレードの生産者たちは、ほどこしを求める弱者ではなく誇り高い職人たちだ。自分の仕事やつくったものに誇りを持ち、それに対して正当な対価を求めている。適正な価格を払ってそれらを買うことは、つくり手やものの背景への敬意や愛情も合わせて手に入れることなのだ。そのとき消費者は、知らず知らずのうちに生産者の搾取や環境破壊に加担する無知な存在ではなく、責任ある選択者になれる。フェアトレードは、生産者であれ消費者であれ、それぞれの立場で関わる「人」の存在を再認識させ、人の力で社会を再構築する試みなのである。

バングラデシュの事故の犠牲はあまりにも大きかったが、この事故の教訓を無駄にせず、消費者や企業がもっとものの背景に目を向け現状を変えるよう行動するきっかけになってほしいと願う。その先には、人と人とが尊重し合い対等につきあうフェアな社会があると信じている。


火曜日

11

3月 2014

震災から3年 - 宮城県・南三陸まなびの里いりやどからのメッセージ

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広報ディレクターのタネモリです。

3月11日が近づくにつれ、さまざまなメディアで被災地の現状が報じられています。
ピープル・ツリーがプロジェクト立ち上げを支援した、宮城県南三陸町の「南三陸まなびの里~いりやど」プロジェクトは、間もなくオープンから1年を迎えます。プロジェクトを率いた入谷公民館長の阿部忠義さんから、近況を伝えるメッセージをいただきました。

あの悪夢のような東日本大震災から3年経過しました。

この間の歳月は、被災者にとって、先が見通せない、長く不安な日々を過ごしていました。
町でもそうした思いを、しっかりと受け止め、一日も早い南三陸町の復興を目指して邁進しているところであります。

しかし、住民の不安は解消されず、町を離れ新居を求める人が多くなり、加速化する人口流失に歯止めをかけられないのが現状です。

このままでは、震災前の人口の半分になってしまい、次第に町の活力も失われ、ズルズルと衰退していくことを大変危惧しております。

私は、この人口流失を補う対策の一つが交流人口の拡大であると考えています。
大震災発生以来、本町は、全国、あるいは世界中の皆様から、さまざまな形での温かいご支援と激励をいただきました。
そして、この多くのご厚意は、被災した町民の大きな支えとなりました。
今回ほど、人と人がつながる「絆」の強さを感じたことはありません。

ただ、「感謝」の気持ちでいっぱいであります。

この気持ちを忘れず、震災後のつながりを活かして、これからの交流人口の拡大に結びつけていくことが最も大切なことだと思っております。

さて、「南三陸まなびの里~いりやど」は、震災直後に駆けつけてくれた大学のボランティア活動がきっかけで、建設が計画されたもので、昨年の3月18日にオープンいたしました。

建設の際には、ピープル・ツリー様からも多大なご寄付をいただきましたことを改めて感謝申し上げます。
お陰さまで開設以来、大学や企業の研修やボランティア活動の拠点施設として活用していただいており、今日も大勢の学生たちで賑わっております。

私たちは、「多くの若者が集う南三陸町」をイメージし、大学や企業などの様々な活動を可能とする地域づくりを目指しております。
具体的には、被災地の復興支援活動などから学ぶプログラムや、南三陸の里山海の全域を研修フィールドとして活用する研修プログラムの整備に取り組んでいます。
加えて、学生等が地域住民と深く交流し、協働による自由で自在な発想と活動の中から、地域再生に貢献する人材を養成すると同時に、一方で日本のために働く人材を輩出する一助でありたいと考えております。

復興は、長く険しい道のりでありますが、決して倒れず、屈せず、立ち止まることなく、小さくてもキラリと光る南三陸町を取り戻すために、官民一丸となって取り組んで行きます。
どうか、これからも変わらぬ応援をお願いします。

南三陸町入谷公民館  阿部忠義

いりやどの活動のようすは、こちら

2013年2月、ピープル・ツリーからの寄付をお渡しした時のようす。左が阿部さん(写真提供:南三陸研修センター)

2013年2月、ピープル・ツリーからの寄付をお渡しした時のようす。左が阿部さん(写真提供:南三陸研修センター)

昨年3月のオープンから年末までに「いりやど」を利用した人は、ボランティア、研修参加者、観光客を合わせて6,030人にのぼったそうです。これからも多くの訪問者が地元の人びとと交流することで、町が再びいきいきと活気づくことを願ってやみません。
ボランティアや観光で南三陸町を訪れる人はぜひ、宿泊先として利用してみてください。

「南三陸まなびの里~いりやど」