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ピープルツリーの日々のこと

金曜日

9

2月 2018

\カカオポイントが苗木になりました!/

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ボリビアから届いたカカオの苗木プロジェクトをご報告します。

ピープルツリーのフェアトレードチョコの原料であるカカオ豆は、
ボリビアの農家の共同体「エル・セイボ」が育てています。

近年の気候変動による大雨で、カカオの木の病虫害被害が深刻化したことにより
被害を受けた農家を支援するために、エル・セイボの技術部門である「PIAFエル・セイボ」は、
在来種の苗木を農家に配って植え替えを進めてきました。

ピープルツリーはこの活動を応援したいと、2013年から「カカオポイント」をスタートしました。
板チョコとデザートバーのパッケージ裏面には1カカオ、
フィリングタイプには2カカオのカカオポイントがプリントされています。
このポイントを集めてご応募いただくと、ボリビアの生産者には、10カカオポイントごとに
カカオの苗木が1本贈られ、応募してくださった方にもプレゼントをするという企画です。

今回、現地からプロジェクトの進捗レポートが届きましたので、ご紹介します。

*****

日本のみなさん、こんにちは。
ボリビアの「PIAFエル・セイボ」ディレクターのヘスス・キスペ・グティエレスと申します。

PIAFが行っているカカオ農家の支援プロジェクトに寄付を送ってくださりありがとうございました。
農家の人びとが喜ぶだけでなく、PIAFがこれからも農家の支援を続けることができます。

PIAFはカカオ農家の組合連合である「エル・セイボ」の技術部門で、
メンバー農家に対して有機農法や森林農法の技術指導をしている団体です。

エル・セイボではメンバー農家1,450軒が4,600ヘクタールの農地で
オーガニックとフェアトレードの認証を取得していますが、認証取得のための内部統制も私たちの仕事です。

農家を訪れて接ぎ木の指導をするPIAFの技術指導員

エル・セイボのカカオ栽培地であるアルト・ベニ地方では、
2010年頃からモニリヤと呼ばれる伝染病が蔓延し始めました。

モニリヤに感染すると実が腐ってしまい、細菌は空気感染で広がります。
発生から3年ほどの間にアルト・ベニ全域に広がり、被害を受けた農家では収量が4割以上、
農家によっては9割も減ってしまいました。

実の成長段階ごとのモニリヤの症状:
左から、/若い実に肥大や腫瘤が現れる/早熟/黒い斑点や茶色のしみが現れる/白いクリーム状の粒が現れる(胞子や種子)/(PIAFの資料より)

モニリヤは、湿気が多かったり枝の剪定や雑草処理が行き届いていなかったりする農地で発生しやすい病気です。
PIAFでは剪定などの知識を広めるワークショップを開催するほか、
モニリヤに耐性を持つ品種を見つけるための調査を行ってきました。

アルト・ベニで栽培されているカカオ樹種はほとんどがハイブリッドや接ぎ木されたもので、
この地域の在来種であるクリオロ種は全体の0.3%にしか過ぎません。

しかし、クリオロ種は地域の気候に合い栽培の手間もかからないことから、
この在来種の苗木を育てて病気に耐性を持ちかつ品質や生産性の高い品種に改良するプロジェクトを
2014年に始めました。

クリオロ種の栽培経験を持つ6つの農家組合、45ヘクタールの農地でプロジェクトを実施することにし、
2014年春に4万粒の種を採取して育苗を始めました。
このプロジェクトに、スイスのフェアトレード組織クラロと日本のピープルツリーから
資金を提供していただきました。

おかげで、2015年末までに62軒の農家に19,100本、
2016年末までに合計95軒に29,200本の苗木を配布することができました。

苗木の配布(2015年)

苗木を受け取ったベルナベ・ラモスさん(2016年1月)

2017年9月から11月にかけ、
PIAFの技術指導員が95軒の農家をすべて訪問して苗木の生育状況を確認しました。
その結果、95軒中48軒では苗木の成長が均一で雑草処理や剪定もよくされており、
アグロフォレストリーで植えられた他の植物との調和もうまくとれていました。

35軒では雑草処理や剪定が適切にされておらず、枯れた木もありましたが、
ある程度管理できていました。
しかし残念ながら、12軒は十分な土地や世話をする時間がないなどの事情で
苗を定植できませんでした。

定植後1年目の木。まだ細く弱々しい

定植後1年目の木。まだ細く弱々しい

種から育てた場合、成木となって実を結ぶまでに4~5年かかりますが、
既存の樹木に接ぎ木する場合は2~3年で実をつけます。
今回の調査では、既に実をつけ始めたものも確認できました。
収穫の様子をぜひ次回の報告でお伝えします。

定植後2年目の木。ビジャソン・コミュニティにて。

接ぎ木したものは既に実をつけ始めている

PIAFでは2017年から3か年計画で、
サン・ペドロの2か所の試験農場で新たなプロジェクトを開始しました。
2.5ヘクタールの農場で2種類の密度でカカオを植え、
最良の栽培方法と良質な遺伝子を持つ品種を探るのです。
これまでエル・セイボのメンバーが採種した品種は品質や病気への耐性にばらつきがあるため、
品種改良を目指します。

試験農場では森林農法を取り入れ、
カカオの木と同数のユカ(芋)やバナナの木、果樹などで日陰をつくります。
ここでカカオの木に最適な日陰の管理、雑草処理、害虫の管理、枝の剪定の仕方を検証します。

みなさまからお送りいただいた寄付は、引き続き育苗プロジェクトのフォローアップと、
この新しい試験農場のプロジェクトに使わせていただきます。
これからもエル・セイボの農家が収量を増やし、
質の高いカカオ豆を提供して生活を向上させられるよう、協力をお願いいたします。

カカオポイントについて詳しくはこちら >

今シーズンは、4月末日がご応募締切日です。
ぜひ、たくさんチョコを召し上がって、カカオポイントをご応募ください。

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