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ピープルツリーの日々のこと

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水曜日

3

10月 2018

インドの職人たちと一緒につくりあげた1枚

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酷暑の夏もやっと終わり、一雨ごとに秋らしさが深まってきました。蒸し暑いのが大の苦手で、ついつい半袖のシャツやサンダルが手放せずにいましたが、さすがにそろそろ本格的に衣替えの季節です。

9月も後半になり、ピープルツリーにも肌触りの良い素材の新アイテムがたくさん届いています。
その中でも秋の装いにぴったりの「ハンドプリント起毛シリーズ」をご紹介します。

この商品を手掛けるのは、インドのコルカタにオフィスを構える生産者団体「サシャ」。
私たちがフェアトレードのものづくりを始めてから15年以上通い続けているインドの生産者グループのひとつです。
数年前にハンドペイントのユニークなアイテムを見つけ、そのプリントを手掛ける工房「サードアイ」を訪ねて以来、毎シーズンどんな手法でプリントをしたら面白いものができるか、職人さんたちと一緒に試行錯誤しながら新しい商品をつくっています。
今回もいろいろな苦労を重ねてやっと商品化することができました。

落書きもアートな工房「サードアイ」

工房のあるセランプールはサシャのオフィスがあるコルカタから車で2時間ほど、ガンジス川のほとりにある歴史ある街です。
18世紀後半に活字印刷による産業がインドで初めて本格的に始まったところで、今ではテキスタイルプリントがとても盛んな地域です。
大型のスクリーンプリントを扱う大きな工場から、ブロックプリントやハンドペイントの小さな工房まで、たくさんの職人たちが働いています。歩いていてふと民家のドアの奥を覗くと、ときおり黙々と版を押している職人さんを見かけることもあります。

向こうにみえるのはガンジス川

小さな路地の多い街並み

まずはベースとなる素材について。
秋冬シーズンに向けて起毛素材のあたたかみを感じられるシリーズを企画しましたが、ピープルツリーの生産者はほとんどが南アジアにあり、その多くが一年を通して寒い季節のない地域にあります。ましてや、この西ベンガル州は気温だけでなく湿度も高いので、欲しかったコットンネル素材を扱っているお店や問屋はなかなかありません。ないと言われてもどこかにはあるはず、方々で持参した参考生地を見せ、数シーズン越しでやっと使えそうなものを見つけることができました。

次なる挑戦はプリントです。
ブロックプリントは薄手のシルクやコットン生地に押すことがほとんどで、今回のように厚手の、しかも起毛素材の生地にプリントするのは彼らにとっても初めての挑戦でした。
今回のデザインは秋らしい濃色のグリーンベースに葉っぱのモチーフをちりばめたもの。
ハンドペイントの味わいを表現するためにローラーを使うことにしましたが、なかなか思うような色と質感にたどり着きません。
顔料をつけすぎると起毛のふんわりとしたあたたかさが失われ、のっぺりとした手触りになってしまいます。ベースの起毛を活かしつつ、ハンドペイントで陰影のある仕上がりしたいとこだわっていたので、さてどうしたものか。

試作中の生地。どうしても色が薄くなってしまいます。

悩んでいたら、工房の代表でデザイナーのパキさんから
「それなら一度生地を染めてからプリントしたらどう?」との提案。
「でも、ここには布を染める設備はないでしょう?」と私。
すると、サシャのプラディプタさんが
「できるよ!サシャの他のグループで染めた生地をここに持ってくるから大丈夫!」と。
ひとりひとりが職人としての経験をもとに、よりよいものを作るためのアイデアを持ち寄ってくれることにいつも励まされます。

ハンドペイントはただでさえ長い時間がかかるのに、さらにひと工程加えるのは正直なところ心配でした。
手仕事とはいえ、お約束しているお客さまへのお届けが遅れるわけにはいかないのですから。でも集まったみんなは、そのほうがより美しいプリントができる、納期にも間に合うと自信たっぷり。
それならということで、生地を薄いグリーンで染めて、濃いグリーンをローラーでプリントすることに決めました。

展示会に向けてのサンプル用に数メーターの生地を染めてもらい、数日後にもう一度工房を訪ねました。
やり直す時間はないのでドキドキしながらプリント再開です。コットンネルの柔らかい起毛を潰さないように、ふんわりと少しずつ色を重ねていきます。ベースのプリントが終わったら、今度は葉っぱのモチーフを木版のブロックで押していきます。
あくまでもランダムに、でも全体的に同じ印象になるように。職人たちは仕上がりをイメージしながら、次々に柄を描いていきます。

生地のプリントが終わったら、スチーミングという工程に入ります。
顔料プリントは熱を加えることで色の定着が安定するので、欠かせない工程です。
スチーミングで色が変化することがあるので、プリントの色はそのブレを予測しておかなければなりません。大きな蒸し器にかけて数時間、やっと生地ができました。

大きな蒸し器。でもいちどに入るのはたったの数m分

色を予測するのは長い経験が必要。

思い通りのイメージにできた!と安心したのも束の間、本生産でもひと苦労ありました。
経験を持った彼らにとっても今回のプリントは初めての挑戦だったので、色が合わなかったり、起毛がつぶれてしまったりして何度もやり直したため、途中で生地がなくなってしまうというハプニングもありました

時間をかけて仕上げられる生地をどんどん縫製グループに届けます。
しかしここでもまたひと苦労。生地の場所によって微妙な濃淡があるので、裁断したパーツの色が合うように注意して一着ごとに組み合わせなければなりませんでした。
それぞれ少しずつ色の深さが違うのはプリントの味わいですが、袖と身頃が違う色というのは困りますから。サシャのフィールドワーカーがそのたびに何度も縫製グループを訪ね、職人たちと一緒に確認をしてくれましたが、その作業には大変な時間がかかりました。
私も急遽スケジュールを調整して再びインドへ。
指示通りにできているか、大きな問題がないか、サシャのスタッフと一緒に確認して、満足いく品質の製品を送り出すことができました。

サシャの倉庫ですべての商品をもう一度チェック

ピープルツリーの手しごとには、たくさんの人たちの努力とものをつくる喜びが詰まっています。
生地の色あいやリーフのプリントひとつひとつに、それを施した職人の手仕事の跡を感じられる、そんなつくり手の思いが詰まった1枚がひとりでも多くのみなさまに届きますように。

ハンドプリント起毛シリーズはこちら >
秋冬の新作はこちら >


火曜日

24

11月 2015

☆24周年リレーブログ☆ 変わりゆく生産者たちの環境と変わらないもの

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24周年を迎えた11月のリレーブログ『ピープル・ツリー 今昔ものがたり』。
今となっては笑い話のような、懐かしい、かつてのエピソードをご紹介します。
早くも第3回目です。




仕入れ・生産担当のウエダです。

毎年インドやバングラデシュ、ネパールなどの生産者を訪ね続け、はや十数年。日々の仕事の中ではつい忘れてしまうけれど、はじめて彼の地を訪れた時のことを振り返ると、その大きな変化をあらためて実感します。

例えばインドのコルカタ。

かつては古くて小さかった空港も、今や近代的な立派なビルになり、たくさんの牛が草をはんでいた旧市街に向かう道はハイウェイに(建設されたばかり高架道路が崩れて落ちてしまったという痛ましい事故も起きているのですが……!) 、その両側には高層マンションがニョキニョキと立ち並び、大きなショッピングセンターで人びとが買い物を楽しんでいる、そんな光景が至る所で見られます。インドの急速な経済発展には、ただただ驚くばかり。

現在のコルカタの様子

現在のコルカタの様子


例えばバングラデシュのダッカ。

人とリキシャであふれかえった道路は常に渋滞。2サイクルエンジンから吐き出される大量の排気ガスで、夜ともなるとライトに照らし出される街は白く霞み、一向に進まない車(もちろんエアコンなし)の中で窓も開けられず、ひたすら前を見つめて渋滞の解消を念じていたものです。劣悪なガソリンも規制されて天然ガスにかわり、電気自動車ならぬ電気リキシャも登場して、大気汚染は大幅に改善されたように感じます。

甘いチャイに飽きても、かつては薄いインスタントコーヒーにしかありつけなかったのですが、今ではエスプレッソマシーンを備えたカフェが街のあちこちに。
バングラデシュはモスリムの国でお酒を飲む習慣がないため、香り高いコーヒーは大流行。
スターバックスが進出するのも時間の問題かもしれません。
とはいえ出張中は忙しすぎて、そんなところにまったく行けないのですが…。

ピープル・ツリーの生産者パートナーも、思い出すと笑ってしまうようなことがたくさんありました。数年前は大量の指示書をロール紙のFAXで送っていたのですが、「今日はFAXがxxメートル分届きました」とか、ついには紙が切れてしまって、「買いに行かなきゃいけないから、また明日送ってください」とか。
ついこの間まで、「FAXは街まで受け取りに行くので、送ったら電話をしてください」と言っていた郊外にある生産者団体グループが、今では事務所にWIFIを整え、併設している小学校ではパソコントレーニングをしていたりします。

一方で、ものづくりの現場はというと、ひとつひとつ手仕事で生み出されるのがピープル・ツリーの商品の魅力。

糸を染め、機を織り、ミシンをかける、一目ずつ編む、チクチクと刺繍をする、木版でプリントをする。こういったところは、今も昔も変わりようがありません。

今も手仕事で行っている、糸を染料で染めて乾す作業。

今も手仕事で行っている、糸を染料で染めて乾す作業。


今も手仕事で行っている、生地を手織る作業(左)、手編みする作業(右)。

今も手仕事で行っている、生地を手織る作業(左)、手編みする作業(右)。


大きく変わったのはサプライチェーンと品質への取り組み。
WFTOが掲げるフェアトレードの10の指針をもとに、さらに一歩進んだ環境への配慮やトレーサビリティを目指して、たくさんのことが実現しています。

小さな生産者グループにとって、原材料の手配は大きな課題です。
マーケットで購入したものは、どこで誰がどのようにつくったものか、たどれないケースがほとんどで、品質に問題が起きることもしばしば。
日本のように少量でも質の良く、信頼のおけるものが調達できるサービスシステムがないのが現状です。

ピープル・ツリーは小さな会社ながら、生産者グループがオーガニックコットンを入手できるように、現地の紡績工場を一緒に訪問して交渉をしたり、色落ちや問題を解決するために、染料の仕入先を調べ、専門家を招いてワークショップを行ったり、手織り生地の強度の問題を改善するために、ひとつひとつの織機をチェックして生産者とのミーティングを重ねるなど、できることを積極的に取り組んできました。
その結果、今ではたくさんのオーガニックGOTS認証の商品がお届けできるようになり、まだまだお客さまからのご期待に十分に応えられていないこともありつつも、品質も向上してきました。


生産者団体「KTS」でのワークショップ(左)、縫製トレーニング(右)

生産者団体「KTS」でのワークショップ(左)、縫製トレーニング(右)


染色の際に出る排水の浄化システムを持つ生産者グループも増えました。
小さな工房にとって、こういった高額な設備はとてもハードルが高いのですが、ピープル・ツリーとの持続的なパートナーシップによって実現したと言えるでしょう。

廃水浄化システム

廃水浄化システム


グレードアップした設備。

グレードアップした設備。ここでスクリーンプリントを行う。


1970~80年代に設立された多くの生産者グループも世代交代の時代を迎えるなか、フェアトレードのものづくりにも、よりプロフェッショナルな姿勢が求められていると痛感します。
これからも、生産者のみんなと一緒にたくさんの小さなチャレンジを積み重ねていきたいと思います。


☆24周年リレーブログ☆


水曜日

21

8月 2013

使うのは葉っぱ!? インドのユニークなハンドプリント

Written by , Posted in 生産者のこと

はじめまして。バイヤーのウエダです。

2013年秋冬カタログは、もうお手元に届いていますか?

私たちが今回のコレクションの企画をスタートさせたのは、昨年の6月。
1年以上の月日を経て、やっと皆さんに商品をお届けできる準備が整いました。

20130821_04

今回ご紹介したいのは、濃淡あるグラフィカルな柄が印象的な
フォレストモチーフシリーズ。

20130821_05

この布が生み出されるのは、インドのコルカタにある小さな工房です。
実は、とてもユニークな手法でプリントされています。

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なんと、使っているのは葉っぱ。

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葉っぱの裏側にインクをつけて、ひとつずつプリントを重ねていきます。
まさに100%ハンドメイドです。

プリントの様子はこちら。

そして、でき上がったのがこちらのドレスとトップス。
大人の女性が似合う、素敵な1枚。
手織りシルクで軽くてさらっとした着心地です。

8月30日(金)19:00より、ピープル・ツリー 自由が丘店で、
この商品を作る生産者グループのお話をします。

プリントの手法だけでなく、職人たちが暮らす街のことや、
ちょっとしたこぼれ話など、続きはぜひ自由が丘店で!
→ イベントの詳細はこちら

みなさんショップに遊びに来てくださいね。