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ピープルツリーの日々のこと

木曜日

14

9月 2023

認証が目指す世界を知ろう
なぜGOTS認証?

Written by , Posted in 生産者のこと, ニュース

広報啓発担当のヒロミです。
オーガニックセプテンバーのキャンペーンブログ第3弾は、ピープルツリーが取得している「GOTS認証」についてご紹介します。

同じく「オーガニックコットン」といっても、農産物(わた)としてのオーガニック認証と、糸や生地、バッグや服など製品としてのオーガニック認証とがあります。

ピープルツリーが取得している「GOTS認証」は、加工された「製品」に与えられる認証です。

GOTSは Global Organic Textile Standard の略で、直訳すると「オーガニックなテキスタイルの世界基準」です。

 

 

 

① organic
organic の表示は、付属品を除いた製品組成の95%以上が、認証されたオーガニック繊維であることを示します。

ピープルツリーのGOTS認証取得商品のほとんどは、オーガニックコットン100%か、伸縮性を持たせるために数%ポリウレタンを使用したものなので、この organic 表記を使用することができます。

ちなみに、GOTS認証では製品におけるオーガニック繊維の混用率が70%以上であることが条件です。70%以上95%未満の場合は with organic の表示となります。

 

② Soil Association
Soil Association(ソイル・アソシエーション、SA)は英国の代表的なオーガニック認証機関です。

一方、GOTSは基準を作る組織であり、基準そのものを指す名称です。
その基準が守られているかを第三者としてチェックするのが認証機関で、ほかにもControl Union Certifications(コントロールユニオン)やECOCERT(エコサート)など、いくつかあります。この表示から、ピープルツリーはソイル・アソシエーションによる監査を受け、GOTSの基準をクリアしたことが認証された、ということが分かります。

③ DK22103
ピープルツリーに付与された認証番号です。
この番号をGOTSの公式サイトで検索することで、この団体が本当にGOTS認証を取得しているのかを、一般の方も確かめることができます。

 

正しいGOTS認証の表記は、①~③の情報が揃っていることが条件です。
(マークの丸い部分だけでは、認証を取得したことが保証されていません。)

マークは製品に縫い付けてもいいですし、取り外しのできるタグに記載することも可能です。(ピープルツリーは紙のタグで表示しています)

また、購入時にGOTS認証であることが分かることが重要なので、通販の場合にはサイトやカタログ上に表示します

商品ページにあるGOTS認証マークをクリックすると、説明ページにリンクします。

 

GOTS認証の基準の概要

GOTSの取り組みは2002年から始まりました。
それまで、農産物である原綿のオーガニック認証については各国の基準を世界的に統合する作業が進んでいましたが、製糸や織り・編み・染めなどの加工を経て製品となったテキスタイル(繊維製品や生地)の認証は、国や認証組織ごとにバラバラでした。

認証方法を統一して共通の基準をつくり、国際的なオーガニック綿製品取引をスムースにしようと、ドイツ・イギリス・アメリカ・日本の団体がメンバーとなり基準を作成しました。

最初の基準は2005年に発表され、以後3年毎にバージョンが更新されています。(現在バージョン7が最新)
2005年から第三者の認識機関によるGOTS認証が開始され、2008年にはGOTSのロゴマークが導入されました。

GOTSの発起メンバー4団体のひとつである「日本オーガニックコットン協会(JOCA)」より

 

いくつか、ピックアップして紹介します。

▼全工程をカバー&トレーサビリティー
GOTS認証は、原材料がオーガニックであるだけでなく、生地の生産・加工や保管・流通の全ての過程で環境的・社会的な基準を満たしていることが条件です。

一般的に、素材の調達から生産工程を経て消費者の手元に届く一連の流れを「サプライチェーン」といいます。

GOTS認証は、サプライチェーンのすべての段階の団体がそれぞれ認証を取得して、つながっていることを重視しています。
つながっていることで、元をたどれるからです。それにより、トレーサビリティー、つまり生産の透明性を保証することができます。

 

▼薬剤使用制限
GOTS認証には「せっかくオーガニックで栽培された原料繊維だから、それにふさわしい環境負荷の少ない製造加工をすべき」という発想がベースにあります。

そのため、糸や生地の染色・プリントに使える薬剤などが決められています。
日本国内でGOTS認証を取得したアイテムの多くはタオルやベッドリネン、ベビーアイテムで、衣料品の流通はあまり多くありません。

ピープルツリーでは、GOTS認証を取得した衣料品はインドでつくられており、認定基準を満たした染料を豊富に入手できるため、カラフルな色柄展開が可能です。

GOTS認証以外の認証では、オーガニックの原綿を一定量使えば、製品の製造加工方法は従来の方法でもいいという考え方もあります。オーガニックコットンの含有率や加工方法に制限が少ないので、表現のバリエーションが豊かで、商品展開もしやすいためです。

(そもそも、農産物として有機栽培の認証を取ったオーガニックコットンは、コットンの総生産量の1~2%といわれています。製品の製造に必要な量を確保するだけでも、かなり大変なことなのです)

 

▼社会的な基準
GOTS認証で最も特徴的なのが、「社会的な基準」です。
児童労働や強制労働、差別が禁止され、労働環境や安全性が守られていることが重要な基準として明記されています。

社会的な基準がある特殊性について、よくわかるエピソードがあります。
ピープルツリーでは、サプライチェーンの中で「販売者」として認証を取得しています。認証の更新のために、定期的に監査担当者が訪れるわけですが、日常的に製品を扱っていないオフィスにも当然やってきます。(コロナ時にはオンライン監査のことも)

あまり詳しいことは監査のルール上書けないのですが、オフィススタッフの労働時間や条件、非常時の避難経路が確保されているかなど、細かくチェックされます。

オーガニックコットンを「有機栽培されたコットン」というだけの認識だったら、畑ではないところで働く人の労働時間まで聞かれることに、「オーガニックと何の関係があるの!?」ビックリするのではないでしょうか?

GOTS認証が、製品に関わる人たちすべての安全と健康、すなわち「幸せ」を保証したいという認証だということが分かると思います。

これこそが、ピープルツリーが数あるオーガニックコットン認証の中で、GOTS認証にこだわる理由です。

2007年、インドのアシシ・ガーメンツは途上国の工場としては世界初のGOTS認証を取得。

 


\このブログのキーワードは、GOTS認証の “G” と9月の “9” で『G9』です/


 

どんな世界を目指しているの?

そもそも、なぜ、オーガニックコットンが必要なの?
一般的にコットンにはナチュラルな良いイメージがあると思いますが、実は環境問題や人権問題と、さまざまな課題を抱えています。
その現状についてはこちら>

コットンをオーガニック栽培にすることで、生物多様性や生態系が守られ、畑で働く人びとの健康も守られます。また、農薬や遺伝子組み換え種子を毎年買わずに済むので、経済的負担も減らせます。

その原綿を、環境にも人権にも配慮した生産方法で加工していき、素敵な商品に仕上げていく。

そうやってつくられた商品と分かっていたら、消費者は安心してお買いものをすることができます。いちいち、素材の安全性は? 生産背景は? これは誰かを傷つけるお買いもの?などと悩む必要がなくなります。それが、認証が持つ説得力です。

とはいえ、「認証があるから、いい商品」と思考停止になるのも、正しい姿勢とはいえません。(認証がなくても、素晴らしい取り組みをしている商品も世の中にあります)

それぞれの認証が掲げる基準は、どんな世界を実現させたいのか知ることができる大事な視点です。基準が明文化されることで、認証を得る組織が意識的に取り組むことを推進できます。

だからこそ消費者も、どんな認証なのか、何を大事にしているのか、「私たちが選ぶことで、何ができるのか」を積極的に知ろうとすることが、世界を変える第一歩です。

認証のあるなしに関わらず、「どこで、誰が、どんなふうにつくってくれたのか」を知るのは、自分と世界とのつながりを考える、大事な問いかけです。

フェアトレード専門ブランドとしてピープルツリーが守る「フェアトレードの10の指針」とGOTS認証は、目指す世界が似ています。

 

 


この世のすべての商品が、環境にも人にも配慮され、人間同士だけでなくほかの生き物や地球も相手にすべての関係性がフェアな生産背景を持っていたら。きっと、心から気持ちよい毎日を過ごせるでしょう。

基準やルールの先にある、理想的な世界を目指して。『ハチドリのひとしずく』のクリキンディのように、それぞれの立場でできることをやっていきませんか?

GOTS認証やフェアトレードの目指す世界に共感してくださった方は、ぜひGOTS認証のついている商品を手に取ってみてくださいね。

GOTS認証の付いた商品はこちら>>